台湾・鴻海精密工業が半導体事業の強化に向けて積極的な動きを見せている。
2022年7月14日、中国・紫光集団に53億8,000万台湾ドル(NTドル)を出資することを発表した。具体的には、紫光集団の株式を引き受けた智路資本(Wiseroad Capital)と建広資産管理(JAC Capital)を中心に組成されたコンソーシアム(智広芯)に対して、中国の上海市場に上場している子会社富士康工業互聯網(FII) を通じて出資する。出資額は約98億NTドルにまで拡大する可能性もある。なお、この出資に関しては台湾当局の承認が必要である。
2022年5月にはマレーシアのIT/eService プロバイダのDagang NeXchange Berhad(DNeX)社と共同で、マレーシア国内に半導体前工程工場を建設・運営する合弁会社を設立する覚書(MoU)に調印している。同工場では、38/40nmプロセスにより、電気自動車向け半導体を月産能力4万枚(300mmウエハ)で生産することを計画としている。MoUの有効期間は1年間。建設場所は未定。なお鴻海は2021年6月に子会社を通じてDNeXに5.03%出資し、DNeX傘下で8インチウエハ対応工場を保有するSilTerra Malaysiaに間接出資している。
また、インドでもNadu Tamil(ナデュ・タミール)州政府とシンガポールの技術投資企業Innovative Global Solutions and Service(IGSS)Venture社が建設する半導体工場の運用主体となることで、同州政府と交渉を行っている。
鴻海グループはこれまでに、、台湾Macronics International(MXIC)から取得した6インチウエハ対応工場(新竹サイエンスパーク内)、広島県福山にシャープの8インチ(200mm)工場があるが、ともにきわめて古いプロセスのレガシー工場である。鴻海にとって、12インチ(300mmウエハ)工場は今回が初めてであり、いよいよ本格的な半導体事業へ参入することとなる。