2023年5月26日、中国の王文濤商務部長と韓国の安徳根通商交渉本部長がAPEC貿易担当相会合の開かれている米・デトロイトで会談を行った。

同会談では半導体分野に関する意見交換が行われたとみられ、中国の王商務部長は商務部の報道資料を通じて、両国は「半導体産業網と供給網における対話と協力を強化することに合意した」ことを強調した。一方で、韓国の安通商交渉本部長は報道資料を通し、「中国側の交易円滑化と必要不可欠な原料・部品の供給安定化のための関心と支援を要請」したとしているが、「協力に同意した」とは述べておらず、両国間で発表に差がみられる。

中国は先日、米Micron社を制裁し、米中対立が更に激化する中で、市場での孤立が深まっている。そんな中で中国国内に半導体工場を多数置いている韓国の協力を得ることで状況打開を図ろうという狙いがあるとみられる。

一方の韓国は、SamsungやSK Hynixをはじめ、半導体の需要の多くを米中の双方に依存しており、加えて水酸化リチウムをはじめとしたバッテリー原料などを中国からの輸入に依存しているなど、米中双方の顔を立てる必要があることから、はっきりした立場を示していない状況である。