中国の大手NANDフラッシュメモリメーカーであるYMTC(長江存儲科技有限責任公司)は独自のSSDコントローラーを開発した。同社が開発したコントローラであるPE310とPE320は、PCI-SIGのPCI Expressコンプライアンス検証に合格した。PE310とPE320は、ハイエンドドライブ用に設計されたPCIe 4.0 x4により、複数のNANDフラッシュチャネルをサポートできる。

これまで、世界の2D及び3D NANDメーカーのうち、韓Samsung社と米Intel社のみがSSDコントローラーを社内で設計し、他の主要なフラッシュメーカーはSSDコントローラーの開発は他社(米マーベル・テクノロジー・グループ、台湾シリコン・モーション・テクノロジー、台湾ジェイマイクロン・テクノロジー、米サンドフォースといった企業)が汎用品のSSDコントローラーを製造していた。

しかし、2015年に1つのメモリーセルに8値を記録できる「TLC」型のNANDフラッシュが登場し、NANDフラッシュとコントローラーは切り離せない関係となった。回路の微細化やTLCの実装などにより、NANDフラッシュはよりエラーを起こしやすくなり、寿命が短くなってしまった。

これをカバーするために、より強力なエラー訂正と、高度なレベルウエアリング/代替処理、そしてNANDセルの寿命予測などの機能がコントローラーに加わり、品種ごとに、NANDフラッシュの振る舞いが異なるために汎用のコントローラーが非常に作りにくくなり、各NANDメーカー(Phison社に出資している東芝(キオクシア)を除く)は、3DNAND、SSDコントローラーの自社開発を行っている背景がある。

YMTCも自社でのSSDコントローラ開発に成功したことにより、今後の市場獲得に向けて標準を一つ確保したことになる。