経済産業省は、2021年5月より国内自動車メーカーと共同で「車載半導体サプライチェーン検討WG」を立ち上げ、議論を継続してきたが、2022年7月1日に同WGが、サプライチェーン強靭化に向けた取り組みの中間報告を発表した。

この中間報告では、車載半導体及び、車載半導体にとどまらなくなったあらゆる車載部品へのサプライチェーンリスクの対策方法が取りまとめられている。

その中で、車載半導体については、半導体供給不足に対する対応策の検討としてまとめられた。
車載半導体のサプライチェーン構造は、完成車メーカー→ティア1サプライヤ→半導体メーカーという発注構造となっているが、ティア1サプライヤや半導体メーカーからは、完成車メーカーが月1回の頻度で、6ヶ月先までの生産計画を提示してもらえれば、変化への対応力向上が期待できるという声が上がった。

また、半導体メーカーからは、中長期の生産計画も設備投資計画を策定する上で必要であるという声が上がったことから、併せて2年超の生産計画を参考情報として提示するという取り組みも持ち上がった。

これらの意見を集約して、以下の方向性をとりまとめ、完成者メーカーを中心に改善を試みた。

①の「6ヶ月以上の生産計画を提示」に関しては、「半導体の需給逼迫が継続し、調達に課題はあるが、生産計画を改善しなかった場合はさらに調達に苦慮していた可能性があった」という意見があり、一定の成果があった一方で、「計画作成の工程が膨大な一方で、予測が当たる確率が低かった」「半導体メーカーからのデコミットが原因で生産現場やサプライヤに急な減産通知を送付せざるを得なかった」といった課題も挙がった。これらの課題に対しては、急な減産通知によってサプライヤに負担をかけることを防ぐため、不足となる可能性が高い部品の影響を生産計画に織り込んだ上で、生産計画を通知する必要があるという形で、改善をまとめた。

⑤「2年超の生産計画を参考情報として提示する」については、長期の生産計画のため、粒度、精度に課題が生じる点や半導体メーカーが設備投資に踏み切るためには、個々の情報だけではなく、業界全体の動向を把握したいという声が上がった。また、半導体だけではなく、戦争やインフレといったリスクも発生していることから、現状、長期生産計画の作成は更に難しくなっている。と、多くの課題が生じた。

また、車載半導体にとどまらず、サプライチェーン全体の強靭化に向けた方向性でも、中長期的な半導体戦略の構築という点が議論された。
この点では、今後普及していくCASEでは、各ドメインを統合して制御するクロスドメイン機能の開発が鍵となる。これに伴って、旧世代の半導体に加えて、先端半導体の調達量の増加も見込まれ、それに対する安定調達や人材育成には、政府のサポートも必要である。また、完成車メーカーの調達部門にとどまらず、設計・開発やティア1サプライヤと半導体の仕様や数量を精査した上で、半導体メーカーと対話し中長期調達計画を立案する必要があるとした。

この資料は、下記リンクから閲覧できる。
https://www.meti.go.jp/press/2022/07/20220701006/20220701006-a.pdf