田中貴金属工業は2022年6月23日、液体ルテニウム（Ru）プリカーサ「TRuST」を利用したRuの2段階成膜プロセスを確立したことを発表した。

「TRuST」は酸素と水素の双方に良好な反応性を持ち、高品位なルテニウム膜を形成できるプリカーサ。当プロセスは、水素による反応で薄い酸化防止膜を成膜、酸素による反応で高品質のRu膜を成膜するという2段階で成膜するというもので、成膜にはALDプロセスを利用する。水素成膜、酸素成膜のどちらの段階においても、同じ原料、同じ成膜温度で実現可能なため、同一の成膜装置内で成膜可能となっている。
水素成膜により、下地の酸素による基板酸化のリスクを低減、酸素成膜によるルテニウムの純度低下も抑制、ほぼ100％に保つことが可能となる。さらに、酸化防止薄膜により、その上に形成されるRu膜も平滑で緻密となり、従来以上の低抵抗値が実現可能となる。
本開発にあたっては、成膜プロセスの発案を韓国の嶺南（ヨンナム）大学校工科大学 新素材工学科の SOO−HYUN, KIM（キム・スヒョン）教授が、その成膜プロセスの開発および評価をキム教授と田中貴金属工業が共同で実施した。