3月11日、ロイター通信によるとウクライナに本社を置くIngas(インガス)、Cryoin(クライオイン)の2社が操業を停止したと報道した。この2社は、世界の半導体向けネオンガスの54%を供給しているという。

世界大手のArF、KrF露光装置向けレーザーを供給するギガフォトンでは、ウクライナ産は数%にとどまるとしており、供給に影響は無いとしているが、世界の過半数の供給が滞ることによって、長期的なネオンガス不足、全体的な価格の高騰は避けられなくなってくると見られる。

またガスだけではなく、全体的に金属の価格も高騰しており、半導体において主要な配線材料となっている銅の1tあたりの価格は、119万500円と2021年2月から23%も高騰している。

また、ロシアはめっきで多く用いられるニッケルの世界最大の生産地となっており、生産量は21%を占める。こちらも高騰しており、ロンドン金属取引所では3月8日、ニッケルの1トン当たりの価格が10万ドル以上に上昇し、取引が停止された。また、ニッケルは半導体が多く消費されるEVバッテリーの主要材料ともなっており、これにより、EVの価格が1,000ドルほど上昇する可能性を持っている。

ここまで、世界の半導体産業は順調に市場を拡大させて来たが、世界的なインフレの懸念と、製品価格の上昇によって、今後の消費にブレーキが掛かる可能性は否定できず、これがトリガーとなって、一時的な今後の市場縮小に懸念がある。