経済産業省は7月28日、経済安全保障推進法に基づき、半導体原料の国内生産及び備蓄を強化する企業に対し、総額最大200億円を助成する旨を発表した。半導体の原料となる希ガスやヘリウムの備蓄などにかかる費用を支援する。

半導体の原料となるネオンなどの希ガスは現在、大半を輸入に頼っているが、政府は経済安全保障上の観点から、これらの原料の国内生産増強が重要であると捉え、支援に乗り出すこととなった。

今回支援対象として認定されたのは、①岩谷産業・岩谷瓦斯(ヘリウムの備蓄。備蓄開始時期:2026年1月、備蓄量:同社の年間輸入量の1ヵ月分)、②JFEスチール・東京ガスケミカル(希ガス(ネオン)の国内における生産。供給開始時期:2027年4月、生産能力:1,000万リットル/年)、③大陽日酸(希ガス(ネオン、クリプトン、キセノン)の国内における生産。供給開始時期:クリプトン・キセノン 2025年8月、ネオン 2026年4月、生産能力:ネオン 2,700万リットル/年、クリプトン 200万リットル/年、キセノン 25万リットル/年)、④日本エア・リキード(希ガス(ネオン)の国内における生産。供給開始時期:2027年10月、生産能力:2,680万リットル/年)、⑤ラサ工業(高純度リン酸のリサイクル技術確立による供給の安定化。供給開始時期:2027年4月、生産能力:960トン/年)の計5件の供給確保計画である。これらの計画を支援することで希ガスの国内での安定供給を図る。

また、これに加え、産業用ロボットの生産にも累計で最大400億円を補助する旨も発表した。

西村康稔経済産業大臣は閣議後の記者会見で、「半導体のサプライチェーン強化という観点で、部素材の更なる上流となる原料の国内生産能力などの増強を図る。今後とも戦略的に不可欠な機微な技術、物資、こうしたものの開発、そして国内生産をしっかりと確保していきたい」と述べた。