ソニーグループは、2021年12月15日に、世界で初となる2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサーを発表した。これは、従来は1面内に形成していたCMOSイメージセンサーのフォトダイオード面と、画素トランジスタ面を、それぞれ別の基板に形成し、縦に積層したイメージセンサーである。

この構造の変更は、従来、表面に構成されていた画素トランジスタ面を、フォトダイオードの後ろに配置することで、表面にフォトダイオードを敷き詰められることから、従来比で2倍もの飽和信号量を確保し、ダイナミックレンジ拡大とノイズ低減を実現し撮像特性を大幅に向上した。本技術が採用する画素構造は、従来の画素サイズに加えて、今後の更なる微細画素においても、画素特性の維持・向上を可能にしている。

また、分割をしたことにより、それぞれの層の構造に自由度が生じ、リセットトランジスタ(RST)、セレクトトランジスタ(SEL)、アンプトランジスタ(AMP)などの画素トランジスタをフォトダイオードの無い別の層に形成したことで、アンプトランジスタのサイズの拡大が可能となり、夜景などの暗所撮影時に発生しやすいノイズを大幅に低減させることに成功した。

この技術は、今後のスマートフォン向けCMOSイメージセンサーなどに応用されていくと見られている。中国系スマートフォンメーカーに強みを持つ、サムスンなどの韓国メーカーにシェアを縮められているソニーにとって、この革新的な技術で、再びイメージセンサーのシェアを伸ばしていけるのかが注目される。

ソニーの主なイメージセンサー革新技術

裏面照射型CMOSイメージセンサー 2009年商品化

積層型CMOSイメージセンサー 2012年発表

積層型CMOSイメージセンサーにおけるCu-Cu接続 2018年発表