半導体ファウンドリ世界最大手の台 TSMCのCEOである、魏哲家CEOは、オンライン決算発表の場において日本への半導体工場建設について、検討段階であると説明した。CEOが日本への半導体工場建設について説明するのは初めてのこととなる。

また、同社エグゼクティブチェアマンの劉德音氏も、「日本での(工場建設の)可能性も排除しない。」としているが、このプロジェクトは今後3年間の1,000億米ドルの投資対象には含まれていないとしている。

日本ではこれまで製造出来なかったプロセスノードでチップを生産する計画に弾みがついたことになるが、同じTSMCの創業者である張忠謀(モーリス・チャン)氏は、自国内で半導体サプライチェーンを再構築するための現在の世界各国の動きに警鐘を鳴らしているという。

Bloombergが報じたところによると、張氏はアジア太平洋経済協力会議(APEC)が非公式で開催したオンラインでの臨時首脳会議に台湾の代表として参加し、16日夕に台北で記者団に対し「過去数十年に及ぶ自由貿易が半導体技術の発展を大きく後押しした」と指摘。「技術の複雑化がサプライチェーンのオフショア化につながった」とし、「時計の針を戻そうとすれば、コストは上昇し、テクノロジーの進歩は鈍化するだろう」と語った。具体的な国名は挙げなかったものの、政府が多額の資金と長い年月を費やしても、自給自足のサプライチェーンを構築するのは難しいと指摘し、「一部の国家安全保障向けの用途では、国内に自給自足の半導体サプライチェーンを持つことが賢明だ。しかし、民間の大量の需要に対しては、自由貿易システムに基づくサプライチェーンを維持するのが最善だ」と同氏は述べた。