米アップルが今後参入すると言われる電気自動車において、生産をどこに委託するかという所で、各者の思惑が加速している。

2020年末に報道された際は、アップルは韓国の現代自動車と交渉を進めており、生産は現代の子会社である起亜自動車が進めると見られていた。しかし、2月に入り事態は一変し、「自動運転車の開発においてアップルと協議しているという事実はない」と現代自動車が発表。協議が進展していないことがわかった。その後、現代自動車の株価は急降下した。

その後、韓国を踊らせた思惑は日本へ移動。国内で最も量産電気自動車を進めている日産自動車(三菱自動車)や、マツダ、スバルが生産を行うのではないかという噂が立ち、株価が上下している。

iPhone、Mac向けのチップを生産することで、世界一の技術力を持つファウンドリとなったTSMCや、組み立てを担う鴻海精密工業のように、Appleに協力することで規模を拡大した企業も多いが、今では新興自動車メーカーとして最も成功しているテスラは、トヨタと一時期協業し、その過程でトヨタと米 GMがかつて合弁で運営していた「NUMMI」の工場を買取り、同社初のオリジナルモデルである「モデルS」の量産に繋げた実績がある。このように、勢いに乗る海外企業へのノウハウの流出は、自社の市場を奪われる原因にもつながることもある。自動車大国日本が今後アップルとどのように付き合っていくのか。プラス要因、マイナス要因それぞれが入り乱れ、市場の思惑は今後も続いて行くと見られる。