中国のシリコンファンドリ企業Semiconductor Manufacturing International(SMIC)社は20年12月4日、中国の政府系ファンド国家集成電路基金、政府系投資会社である亦庄国投と共同出資会社を新設し、大型の半導体製造工場を建設する計画を発表した。新会社の資本金は76億米ドル(約7900億円)で、出資比率はSMICが51%、国家集成電路基金が24.49%、亦庄国投が24.51%を計画している。
新工場は北京市内に建設される。着工時期、稼働開始時期、生産規模などの詳細は明らかにしていないが、300mmウエハ対応で、初期生産能力は月産10万枚規模となるものと見込まれる。市況を見ながら第2期工場の立ち上げも検討していく。
SMICの幹部は2020年11月の2020年第3四半期決算発表で「一部の設備や部品、原料などで輸出許可が必要になった。到着が遅れたり、不確実性が出たりしている。」と明らかにしていた。米中対立が激化するなか、新工場の建設が計画通りに進むかどうかに注目が集まる。
米国はHuaweiとの関係を軸に中国の半導体産業への引き締めを強めている。影響はSMICにも及んでおり、米商務省は2020年9月、SMICに設備などを輸出する際、事前許可を求めるよう規制した。米国防総省も今月4日、SMICを人民解放軍と関係が深い企業に指定している。さらに2020年12月4日には、米国防総省から人民解放軍と関係が深い企業に指定されている。
今回の指定により即座に制裁対象となることはないが、米投資家の株式購入の禁止対象となるほか、同社との取引も控えるように求められる。このため、同社の今後の事業運営に影響が広がる可能性がある。
同社では、この指定について「影響を評価している」との声明を発表しているが、2020年12月期の投資額は従来計画比で1割減少する見通しとなっている。