米半導体大手、Intelは2025年8月22日、米政府が同社に総額89億ドル(約1兆3,000億円)を出資すると発表した。これにより、米政府は同社株式の9.9%を取得することになり、米政府が同社の筆頭株主に躍り出ることになる。

出資費用はCHIPS法に基づき既に交付済みで未払いとなっている助成金57億ドルの残額と、Secure Enclaveプログラムの一環として公布された32億ドルによって賄われる。同社はこれまで米政府からCHIPS法の助成金として22億ドルを受領しており、米政府の同社への総投資額は111億ドルとなる。米政府は不振が続く同社に対する投資を行うことで、AIなどに用いられる先端ロジック半導体の生産能力を維持することを狙う。同社はアリゾナ州に建設中の工場をはじめ、米国内での半導体製造能力の拡大のため、既に1,000億ドル以上を投じており、米政府も同社のプロジェクトを重視している。

米政府による同社への投資は受動的な所有形態で、取締役会への代表権やその他のガバナンス及び情報権は付与されないほか、株主の承認が必要な事項については原則、取締役会の意向に賛同する。一方で、米政府は今後5年間、Intelがファウンドリ事業への出資比率を51%よりも下げた場合に限り、同社の普通株式の5%について、1株あたり20ドルで追加出資できるようになる。

同社の最高経営責任者(CEO)を務めるLip-Bu Tan氏は「先端ロジック半導体の開発と製造を米国で担う唯一の企業として、世界最先端の技術が米国で確保されることに深く関与する」と述べた。

一方、米のHoward Lutnick商務長官は、「Intelは、世界で最も先進的なチップの創出を後押しする株主としてアメリカ合衆国を迎えることをうれしく思っている」とし、「多くの企業がアメリカへの投資を検討するなか、本政権は国家安全保障を強化しつつ、人工知能におけるわが国の優位性を強固にすることに引き続き尽力する」と述べ、今回の出資の重要性を強調した。

出典:Intel Press Release