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GNCレター
独の半導体大手、Infenion Technologiesは2025年5月6日、トレンチベースのSiCスーパージャンクション(TSJ)技術コンセプトを発表した。この技術は、トレンチ技術とスーパージャンクション技術を組み合わせたものであり、より高い効率性とよりコンパクトなデザインを実現する。
スーパージャンクション構造とは、従来のプレーナー構造は平面的にトランジスタを構成するが、この構造では、耐圧を上げるとドリフト層が厚くなるためオン抵抗が増加するという課題があった。このオン抵抗は耐圧の2.5乗に比例すると言われている。 一方、スーパージャンクション構造は縦型のpn接合を複数並べる構造を取っており、耐圧を低下させずにドリフト層のオン抵抗を低減させる事ができる。
Infineonでは現在、SiC TSJ技術を活用し、同社の車載及び産業機器向け製品であるCoolSiCの製品ポートフォリオを段階的に拡大することに取り組んでいる。この拡大には、ディスクリート、モールド、フレームベースのモジュール、ベアダイなど、多様なパッケージが含まれている。
新技術を採用した最初の製品は自動車用トラクションインバータ向けの「ID-PAK」の1,200Vプラットフォームである。同プラットフォームは最大800kWの電力レベルをサポートし、高度のシステム柔軟性を可能にする。新技術を搭載したことで、R DS(ON)*A(規定ゲート電圧でオン状態のときのドレイン・ソース間の抵抗値)の最大40%の改善によって達成される電力密度の増加が利点となり、特定の電力クラス内でよりコンパクトな設計が可能となった。加えて、短絡能力を損なうことなく、メインインバータで最大25%の高い電流能力も実現できるようになった。これにより、全体的なシステム性能の向上、エネルギー効率の改善、冷却要件の削減が実現され、信頼性も向上した。また、並列化要件の削減により、システムコストも低減された。
新技術を採用した「ID-PAK」1,200Vプラットフォームは現在サンプル出荷中であり、いち早く韓・現代自動車の開発チームに供給された。Infineonは同製品について、2027年までの量産を目指している。
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