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GNCレター
米半導体大手、NVIDIAは3月18日、電子回路と光通信を集約したシリコンフォトニクス(光電融合)ネットワークスイッチ「NVIDIA Spectrum-X」と「NVIDIA Quantum-X」を発表した。大規模AIデータセンターはエネルギー消費と運用コストを大幅に削減しながら、数百万のGPUを接続することができるようになる。
新たなフォトニクススイッチは、光学イノベーションを4分の1のレーザーで統合し、従来と比較して電力効率が3.5倍、シグナルインテグリティを63倍、大規模なネットワークレジリエンスを10倍、展開速度を1.3倍に高めた。
同技術の核となっているのが「Co-Packaged Optics(CPO)」という実装形態である。この技術は、光電変換を担う「光エンジン」を、スイッチ用ASIC(特定用途向け半導体)と同一のパッケージに実装・封止する。従来はレーザーや光電変換回路などから必要な部品類を一つのモジュールに収め、このモジュールを挿抜する「プラガブル」が一般的な形態であったが、CPOでは外部からレーザー光源を接続しての光伝送が可能となり、長い銅配線トラックが排除されたため、消費電力が3分の1未満にまで削除され、高帯域性と低遅延の実現が可能となった。また、電気信号でやり取りするのはパッケージ基板のみになり、電気信号の損失が大きく抑えられた。
新たなフォトニクススイッチは同社の「Spectrum-X」イーサネットと「Quantum-X」InfiniBandのプラットフォームの一部として適用が可能である。「Spectrum-X」フォトニクススイッチには、128個の800Gb/秒ポート、または 512 個の200Gb/秒ポートで100Tb/秒の総帯域幅を提供するモデルと、512 個の800Gb/秒ポート、または2,048個の200Gb/秒ポートで400Tb/秒のスループットを実現するモデルが用意されている。一方、「Quantum-X」フォトニクススイッチは、200Gb/秒SerDesをベースとした800Gb/秒のInfiniBandを144 ポート提供する。このスイッチは液冷設計を採用し、オンボードのシリコンフォトニクスチップを効率的に冷却する。「Quantum-X」フォトニクススイッチは前世代と比べ、2倍の高速化と5倍の拡張性を実現した。「Spectrum-X」フォトニクススイッチは2026年に、「Quantum-X」フォトニクススイッチは2025年内の発売予定である。
同社はシリコンフォトニクスに関して、半導体受託製造最大手の台TSMCをはじめ、米Coherent、米Corning、台Foxconn、住友電気工業などの部材メーカーなど、様々な企業と協業した。なお、CPOではTSMCの3Dパッケージング技術を適用している。
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