GNC letter
GNCレター
米半導体大手のTexas Instruments(以下、TI)は、2025年5月23日、GPU大手の米NVIDIAと協力し、次世代AIデータセンター向けの800V高電圧直流(HVDC)電源分配システムの開発を進めている。 この新しいアーキテクチャは、AIの急速な進化に伴い増大する電力需要に対応するため、より高効率で拡張性のある電力供給を実現することを目的としている。
AIの成長に伴い、データセンターラックあたりに必要な電力が100kWから将来的には1MWを超えると予測されている。従来の48V配電システムでは、このような高出力に対応するために約200kgの銅が必要となり、物理的な制約から増加するニーズを満たすだけの電力供給の拡張は困難であるとされている。新しい800VのHVDCアーキテクチャは、電力密度と変換効率を向上させ、電源供給システムのサイズ、重量、複雑さの増加を最小限に抑えることで、これらの課題を解決する。
TIのKilby Labs(キルビー ラボ)で電源管理の研究開発を担当するジェフリー・モローニ氏は、「AIデータセンターは、これまで想像もできなかったレベルの電力を必要としている。TIの電力変換技術とNVIDIAのAI技術の融合により、800Vの高電圧DCアーキテクチャが実現し、AIコンピューティングの前例のない需要に対応できるようになる」と述べている。
NVIDIAのシステムエンジニアリング担当副社長であるガブリエレ・ゴルラ氏も、「半導体の電源システムは、高性能なAIインフラストラクチャを実現する上で重要な要素である。NVIDIAは、次世代の強力で大規模なAIデータセンターを効率的にサポートする800Vの高電圧DCアーキテクチャの開発に取り組んでいる」と述べている。
この共同開発により、AIデータセンターの電力供給の効率化とスケーラビリティの向上が期待されており、今後のAIインフラストラクチャの進化に大きく貢献することが見込まれている。
出典:Texas Instruments News Release
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