産業技術総合研究所(茨城県つくば市、以下、産総研)は10月1日、新たに先端半導体研究センター(SFRC)を設立したと発表した。インターネット上の仮想空間に置き、回路線幅が2nmの次世代半導体や、微細化によらずに性能を向上する3次元集積技術などを研究する。研究開発と試作サービスを一体として実施するオープンイノベーション拠点となる。

産総研はこれまでも経済安全保障上重要となる半導体の次世代技術の開発に注力してきたが、今回、こうした活動をさらに加速させ、先端半導体の国産化を目指し、その技術を確保することを目標として、同研究センターを開所することとなった。

同研究センターは研究開発、共用パイロットラインの構築、社会実装、人材育成を一貫して推進することを特徴とする。

そのうち、研究開発については、
①2nm世代で実用化されるゲートオールアラウンド(GAA)構造の電解効果トランジスタ(FET)の基板技術と先端構造技術の確立
②2nm世代以降に向けた極限デバイス・材料開発
③微細化によらずに性能を向上する3次元集積技術
④最先端システムオンチップ(SoC)設計
⑤半導体製造の環境負荷評価およびグリーン化

これらの課題に重点的に取り組んでいく。なお、これらの開発には共用設備であるスーパークリーンルーム(SCR)や、4インチウエハでの多様な半導体デバイス施策が可能な未踏デバイス試作共用拠点(COLOMODE)、AIチップ設計拠点を主に活用する予定である。

産総研では、こうした設備を通して研究開発と試作サービス提供、人材育成を一体として実施し、先端半導体のオープンイノベーションを推進する中核拠点となることを目指していく。