富士フイルムは10月29日、先端半導体の製造プロセスに用いられるネガ型の極端紫外線(EUV)向けフォトレジストおよび現像液の販売を開始したと発表した。また、これに合わせ、静岡と韓国・京畿道平澤の2拠点でEUVレジストとEUV現像液の増産および品質評価に必要な設備を増強することも明らかにした。

同社はネガ型レジストの現像工程であるNTIプロセスを世界で初めて開発・実用化。ArF露光を用いた半導体製造に広く活用されている。今回、EUV向けに進化させたNTIプロセスに対応するEUVレジストとEUV現像液を組み合わせて提供し、10nm以下の微細な回路パターンの形成プロセスを最適化するとともに、1nm台の次世代半導体にも対応する。

同社のネガ型EUVレジストは、同社がこれまでに培った機能性分子技術を活用し、レジストの反応を制御できる光分解性クエンチャー連結型光酸発生剤(PCP)を導入。これにより、EUV露光時のレジスト膜中の酸濃度を均一に保つことができ、従来の化学増幅型レジストの課題であった回路パターンのばらつきを約17%低減させたという。また、NTI現像液についても、従来のアルカリ現像液ではなく高純度有機溶剤を使用。これにより現像時のレジストの膨潤を抑え、高いパターニング制度を実現した。

現在、人工知能(AI)や5G/6Gによる通信の高速・大容量化、自動運転の拡大などにより、先端半導体の需要が拡大するとともに、更なる微細化も進められており、EUVレジストとEUV現像液についても需要の更なる拡大が見込まれる。これに対応するため、同社は両製品の販売開始に合わせて静岡工場と韓国・平澤工場に設備投資を実施し、最新鋭の生産設備・検査装置を導入する。加えて平澤工場にはクリーンルームも新たに設置する。両拠点とも2025年10月の設備稼働開始を予定している。なお、生産能力と投資額については公表されていない。