米商務省は2025年12月1日、CHIPS法に基づき、米xLight社に最大1億5,000万ドルを出資することで合意したと発表した。この合意はトランプ政権下で国立標準技術研究所(NIST)がバイデン前政権時代の74億ドル規模の国家半導体技術センターの主導権を握って以降初めての支援案件となる。なお、取得する株式の規模については言及されていない。

NIST傘下のCHIPS調査開発室が資金拠出の基本合意書に調印した。なお、この合意書には拘束力はない。

xLightは米カリフォルニア州に拠点を置く半導体関連スタートアップ。自由電子レーザー(FEL)を用いた次世代リソグラフィ光源の開発を進めており、現状でASMLが独占するEUVリソグラフィ光源技術に対抗して、米国内での先端半導体向けリソグラフィ装置の供給網を確立することを目指している。リソグラフィ性能、生産性向上と低コスト化が期待されている。

同社は現在、米ニューヨーク州アルバニーのアルバニー・ナノテック複合施設で初のFELシステムを構築しており、2028年から非営利団体NYCreatesと共同でプロトタイプを稼働させる予定である。ここでは既存のEUV露光装置でFEL光源を検証し、さらにサブEUV波長でのリソグラフィ研究を推進することで、次世代高性能半導体デバイス製造に不可欠となる可能性のある技術を開拓する計画であり、今回の出資金はこのプロトタイプ建設・整備・実証に充てられる。

米商務長官のHoward Lutnick氏は「このパートナーシップは半導体製造の限界を根本的に書き換える技術を支援するものだ」とし、「長きにわたり、米国は先端リソグラフィの最前線を他国に譲ってきた」が、「トランプ大統領の下で、その時代は終わる」と強調した。

同社のCEO兼CTOを務めるNicholas Kelez氏は「半導体製造の未来はリソグラフィにかかっている」としたうえで、「(トランプ政権の)革新を推進し米国の先端半導体製造におけるリーダーシップを回復するというビジョンに感謝している」と述べた。

出典:米国商務省プレスリリース