半導体やFPD製造装置向けのイオン注入装置を手掛ける日新イオン機器は、米アーカンソー大学のSiCパワーデバイス研究・製造施設「MUSiC(ミュージック)」にて実施される、SiCパワーデバイスについての共同研究プログラムへ参画することを発表した。

この国立の施設「MUSiC」にはアーカンソー大学の数十年にわたるSiCの研究実績と、SiCパワーデバイスの製造機能と設備を備え、スタートアップ企業の種となるパワー半導体の新技術や集積回路を生み出すために設立されたアメリカ初となるオープンアクセスが可能な施設。

同施設では、 単一のプロセス強化(ゲート酸化膜など)やデバイス(動作するトランジスタ)を生産する一般的な大学研究所とは異なり、米国および世界のコミュニティからの進歩を取り入れて継続的に改善し、これらの進歩をプロトタイプに落とし込み、その後のシステム評価につなげる仕組みとなり、外部研究者や企業が試作・デモ、デバイス設計の機会を得ることが可能。また、学生をトレーニングし、しっかりと訓練された半導体コミュニティの次世代リーダーとなる人材育成も計画されており、アメリカのSiCパワーデバイスメーカーの数社や、多くのファブレス中小企業が本プログラムへの参画を表明、または検討しているという。

日新イオン機器では、SiCパワー半導体向け高温イオン注入装置「IMPHEAT-Ⅱ(インフィート ツー)」をMUSiCへ提供し、SiCパワーデバイス製造に向けたイオン注入レシピの開発について3年間(2025年より開始)、共同研究を行う。

これにより、先端デバイスに必要とされるイオン注入についての知見を獲得し、次世代装置へ反映し、パワー半導体の性能向上を狙っていく。