韓Samsung Electronicsは5月21日、半導体を手掛けるデバイスソリューション(DS)部門のトップを交代し、新たに全永鉉(チョン・ヨンヒョン)副会長が就任すると発表した。同氏は現在、未来事業企画団長を担っているが、これまでDS部門のトップを務めていた慶桂顕(キョン・ゲヒョン)社長が同職に異動となる。 

 全副会長は2000年に同社メモリ事業部に入社。DRAMやフラッシュメモリ開発、戦略マーケティングなどの業務を経て、2014年にメモリ事業部長を務めた。その後、2017年にサムスンSDIに異動し、5年間代表理事を務め、2024年に入り、サムスン電子の将来に向けた新たな事業を発掘する未来事業企画団長を務めていた。 

 今回の人事交代についてサムスン電子は、「不確実なグローバル経営環境下で対内・対外の雰囲気を一新し、半導体の未来競争力を強化するための予防的な措置である」とした。同社は半導体不況の影響を大きく受け、2023年12月期に14兆8,800億ウォン(約1兆7,000億円)の赤字を記録したうえ、半導体部門の赤字は15年ぶりで過去最大のものとなっていた。2024年第1四半期(1~3月)には5四半期ぶりに黒字に転じたものの、最近のAI市場の急成長によって需要が急増するHBMの市場では、競合するSKハイニックスに大きく後れをとっている。 

 サムスン電子は「全永鉉副会長はサムスン電子のメモリ半導体とバッテリー事業を世界最高水準に成長させた主役」であり、「これまでに蓄積した豊富なノウハウを基に、半導体危機を克服すると期待している」と強調した。半導体競争における後れを回復し、市場で優位に立つため、長年メモリ分野に携わってきた全副会長に大きな期待を寄せている。