中国の半導体大手、SMICは5月9日、2024年度第1四半期(1~3月期)の決算を発表した。これによると、売上高は前期比4,2%増、前年同期比19.7%増の17億5,020万ドルとなったものの、営業利益は前期比12.8%減、前年同期比21.3%減の2億3,970万ドル、純利益は前期比58.9%減、前年同期比68.9%減の7,179万ドルとなった。世界的な顧客の在庫積み増しが追い風となり、増収にはなったものの、新工場の建設などで生産能力が拡大した影響で減価償却費や製造コストが増加、研究開発支出も増えたため、大幅な減益となった。 

 地域別の売上高では中国向けが前年同期の75.5%から81.6%に増加した一方、米国向けは同19.6%から14.9%に減少した。米中対立の影響を受け、国内向けへとシフトをしていることがわかる。 

 用途別ではスマートフォン向けが31.2%と最も多く、売上高も微増した。また、家電向けが好調で前期比で1億ドル以上の増収となった。一方でPC、タブレット向けは前期比で2億ドル近い大幅な減収となった。同社は中国通信機器大手、華為技術(HUAWEI)のスマートフォン向けに半導体を製造しており、この売上が増えているものとみられる。 

 SMICはHUAWEIが2023年から販売するスマートフォン向けに7nmプロセスの半導体を製造しているとされる。但し、米国による先端装置輸出規制により、蘭・ASML製の極紫外線(EUV)露光装置を調達できず、従来型の深紫外線(DUV)露光装置を用いて半導体を製造している。そのため、7nmプロセスでの製造は技術的に難しく、歩留まりが悪いとの見方がある。最新スマートフォン向けの売上増加により、7nmプロセスでの製造が増えたことが減益につながっているのではないかという指摘もある。

出典:SMIC プレスリリース