韓国の半導体材料メーカーであるSoulbrainグループが、プリカーサを製造するDNF社を買収することが8月9日に明らかになった。買収金額は約1,000億ウォン前後であると推定される。

Soulbrainグループは1986年に創立され、エッチング工程、洗浄工程で使用される材料を開発、供給している。特に、フッ酸を主力製品としており、韓国内で初めて高純度フッ化水素の国産化に成功したことで有名である。昨年度の売上高は約1兆900億ウォン。

一方、DNF社は2001年に創立された韓国を代表するプリカーサメーカーで、2005年にサムスン電子と共同で行ったアルミニウムCVDプリカーサの開発をきっかけに同市場に本格参入して以降、ACLプリカーサやDPTプリカーサなども国産化した。特にDPTプリカーサは同社の主力製品となっており、同社の売上の大半を占める。また、現在、日本のADEKAと並び、サムスン電子にDRAM用プリカーサを供給している主要なメーカーとなっている。昨年度の売上高は約1,350億ウォン。

今回の買収には、Soulbrainグループの半導体素材事業ポートフォリオの多角化が背景として存在する。同社は以前より、事業の拡大に向け、プリカーサ市場への進出を図ってきたが、大きな成果を挙げられずにいた。そこでDNF社を買収することにより、プリカーサ開発・製造技術や量産競争力を即座に確保しようという構えである。また、DNF社ではプリカーサに加え、ドライフィルムフォトレジストなどの新製品も開発しており、買収によりSoulbrainグループは事業の幅を大きく拡大し、競争力の大幅な強化が見込まれる。

加えて、DNF社は2021年にサムスン電子から持分投資を受け、現在持分の7%を同社が保持しており、結びつきは非常に強い。Soulbrainグループは今回の買収について、既にサムスン電子からも了承を得ているものと見られ、買収により、両社間の結びつきを強固にしたい狙いがあるものとみられる。