2021年より、iphoneシリーズ向けOLEDディスプレイの供給先に加わった中国最大のディスプレイメーカー、BOEであるが、ものすごい勢いでシェアを伸ばしている。
2021年4〜6月期の同社のOLED出荷数は前年同期比39%増の1,428万枚を記録した。これは、iphoneだけではなく、ファーウェイが規制によって大きくシェアを落としてから躍進する中国のスマートフォンメーカーであるXiaomi、OPPO、Vivo、Realme、iQOOが、BOEを始めとした中国製ディスプレイを利用していることが理由とされる。それを示すように、中国勢ディスプレイメーカーが、サムスンのシェアを奪い、1ヶ月あたりのスマートフォン向けOLEDマーケットシェアが90%→70%にまで急低下したことを中国メディアが報じた。更にこれを裏付けるように、2021年第2四半期(4~6月)のスマートフォンの出荷台数世界シェアではSamsungが1位(5,800万台)、Xiaomiが2位(5,300万台)、Appleが3位(4,900万)となり、4、5位にOPPO、Vivoと中国勢が続いている。

勢いを増すBOEを筆頭とする中国勢に対し、サムスンは自社グループでスマートフォンも製造している優位性を生かして、低温多結晶酸化物(LTPO) – 薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイパネルを2020年にスマートフォン「Galaxy Note20 Ultra」へ一足先に搭載した。LTPOはディスプレイの120Hz駆動を可能にする上、消費電力も抑えられ、従来の低温多結晶シリコン(LTPS)ディスプレイと比較して、15%〜20%程度長持ちするとされ、画面の常時点灯も可能になると言われている。AppleではこのディスプレイをLGディスプレイより供給を受けて、apple watch series 4に採用し、apple watchでは一足先に常時点灯を実現している。
Samsungはこのディスプレイ技術をAppleの次期iphone13 proシリーズ(仮称)に供給すると見られており、フラッグシップの13proシリーズではSamsungが全量を供給すると見られている。
しかし、BOEもLPTOディスプレイをすでに製造し、いくつかの不具合によって、Appleの承認をまだ得られていない状態とされているなど、samsungの背後まで迫っている。
技術力の勝る韓国勢と、技術力の急伸と低価格を武器に躍進する中国勢。その差は更に縮まっている。