半導体受託製造大手、米GlobalFoundries(GF)は11月17日、シンガポールに拠点を置くシリコンフォトニクスファウンドリ、Advanced Micro Foundry (AMF)を買収したと発表した。買収額は非公開。これにより、GFは売上高ベースで世界最大のシリコンフォトニクスファウンドリとなる。

従来の銅配線は、ノイズの問題などからデータ通信速度の限界に達しつつあり、これを解決する手段として、光を用いてデータセンター間および内部で情報を伝送することにより、超高速かつ省エネルギー性能を実現する技術であるシリコンフォトニクスが期待されている。GFはこうした市場拡大を背景に、ニューヨーク州の工場においてシリコンフォトニクスの製造能力を拡大させ続けてきた。

AMFは世界初のシリコンフォトニクス専業ファウンドリ。200mmウエーハの製造ラインを持ち、製造、試作、テストサービスを網羅的に提供しており、すべてが15年以上の研究開発経験を持つエンジニアチームによる独自の技術プラットフォームによって支えられている。

今回の買収によりGFは、シリコンフォトニクス技術ポートフォリオ、生産能力、シンガポールでの研究開発を拡大し、米国における既存技術力を補完するとともに、データセンターや通信技術の幅広い市場機会を開拓する。具体的には、AMFがシンガポールに展開する200mmプラットフォーム上で長距離光通信、コンピューティング、LiDAR、センシングの需要に対応し、市場ニーズの拡大に応じて300mmへの拡張も計画している。

加えて、GFはシンガポールにシリコンフォトニクス研究開発センター(CoE)を設立する計画である。同施設はシンガポールの主要公的研究機関であるA*STAR(科学技術研究庁)と連携し、400Gbpsの超高速データ転送を可能にする次世代材料に焦点を当て、GFのイノベーションロードマップを推進するという。設立時期などについては非公表。

GFのCEOを務めるTim Breen氏は「シリコンフォトニクス技術はAIインフラに不可欠だ」とし、「AMFの買収により、GFはプラガブルトランシーバーやコパッケージドオプティクスに関する拡張された差別化ロードマップを提供できるようになり、自動車や量子コンピューティングといった隣接市場へのフォトニクスの成長も加速させる」と述べた。