米の半導体大手、NVIDIAは2025年5月13日、サウジアラビアをAI、クラウド、エンタープライズコンピューティング、デジタルツイン、ロボティクスの世界的大国にするため、同国とパートナーシップを締結したと発表した。

サウジアラビアは石油依存型経済からの脱却を目指す国家戦略「Saudi Vision 2030」を掲げており、その中核事業として、AI事業を置き、現在巨額の投資を進めている。今回のパートナーシップもその一環とみられる。

今回のパートナーシップにより、NVIDIAはサウジアラビアの主要企業と共に、次のような協力を行う。

・AI企業のHUMAINと500メガワットの処理能力を持つAI工場を建設するために協業し、今後5年間で、数十万個のNVIDIAの最先端GPUを供給する。その最初の展開として、「Blackwell GB300」を18,000個供給する。

・HUMAINはサウジアラビア初のNVIDIA Omniverse Cloudを展開、デジタルツインを用いた物理的AIソリューションのシミュレーションとテストを実施する。

・NVIDIAはサウジアラビア国内のコンピューティングエコシステムを強化し、数千人の技術者の高速コンピューティングとAIの複雑な課題解決能力の向上を図る。

・NVIDIAとサウジアラビアデータ＆AI庁(SDAIA)は最大5,000台のBlackwell GPUを展開し、AI工場を構築するとともに、スマートシティソリューションを推進する。また、政府や大学の科学者・技術者に向けて、物理AIやエージェントAIのモデル開発・導入に関するトレーニングを実施する。

・Aramco DigitalはAIコンピューティングインフラを開発し、NVIDIAのスタートアップエコシステムと連携し、AIエンタープライズ・プラットフォームの構築や、NVIDIA技術を活用したエンジニアリング＆ロボティクスのセンター・オブ・エクセレンスの設立を行う。

NVIDIAのJensen Huang CEOは、「AIは電気やインターネットのように、すべての国にとって不可欠なインフラだ」とし、「HUMAINと共に、サウジアラビアの人々や企業のためにAIインフラを構築し、王国の大胆なビジョンを実現しようとしている」と述べ、サウジアラビアの国家戦略への積極的な支援の姿勢を示した。

一方、SDAIAの総裁を務めるH.E. Dr. Abdullah bin Sharaf Alghamdi氏は、今回のパートナーシップについて、「データとAIを基盤とする経済の中で王国をリーダーとして位置づけ、知識基盤社会と高度なデジタル経済を構築するための重要な一歩となる」とし、その意義を強調した。