2025年4月11日、米税関・国境取締局(CBP)は相互関税の対象外となる品目の一覧を公表し、スマートフォンやノートPC、メモリーチップ、半導体製造装置、薄型ディスプレイなどの電子機器がこれに含まれることが明らかになった。追って4月13日、これら電子機器について、1~2か月以内に導入される半導体関税に組み入れられることも明らかになった。

4月2日の大統領令によって発表された相互関税では、半導体のみを別関税の適用とする旨が表明され、電子機器については相互関税の適用対象となっていた。ここへ来ての方針転換の理由については説明されていないが、当初はスマートフォンやノートPCなどの米国内での価格の急騰による影響を抑えるためとみられていた。

ところがトランプ米大統領は13日、電子機器類などについて、関税の「『除外』など発表していない」「別の関税『バケツ』に移されただけだ」として、別関税を課す方針であることを明らかにした。また、ラトニック商務長官は同日、半導体関税の対象としてこれらの製品を含めることを発表、「国家安全保障を確実に守るため、半導体もこの国で製造する必要がある」として、関税除外は一時的なものであると強調した。

トランプ米政権の政策の迷走により、テック各社は困惑している。関税除外の知らせによる安堵から一転、再び価格高騰への懸念が広がっている。

米Appleのスマートフォン「iPhone」は米国で販売する製品のほとんどを中国で組み立てている。分野別関税で先行した鉄鋼・アルミニウム、自動車への関税と同程度の税率であれば、半導体への追加関税も25%程度になる。当初の相互関税145%よりはだいぶ抑えられてはいるものの、コスト増は避けられず、値上げとなる可能性は高い。

また、半導体製造装置も同様の税率がかけられる可能性が高い。先端半導体向け製造装置は蘭ASMLや東京エレクトロンなど、米国外メーカーに依存している。台TSMCや米Intelなどが米国内で半導体を製造するとしても、装置導入に費用がかかる。

半導体関税については半導体メーカー、電子機器メーカーとの協議のうえ、具体的な内容が発表される見通し。