トランプ米大統領は3月31日、米国内の半導体産業支援策であるCHIPS法を引き継ぐ新たなオフィスを商務省内に設置する大統領令に署名した。30日以内の設置が指示されている。

ホワイトハウスによれば、新設されるのは「米国投資アクセラレーター」で、米国内への10億ドル以上の投資を促進・加速することを目的とする。投資家が米国政府の規制プロセスを効率的に進むのを支援し、適用法に基づいて規制を緩和し、適切かつ法の範囲内で国の資源へのアクセスとその利用を増加させる。また、国立研究所との研究協力を促進し、50州の州政府と協力して、規制障壁を軽減し、国内および外国投資を増加させるとしている。

また、大統領令では、「投資アクセラレーターはCHIPSプログラムオフィスの管理を担当し、納税者に有利な条件を提供し、前政権よりも優れた交渉を行う」としている。但し、具体的な交渉内容については明らかにされていない。

一方、バイデン前政権により商務省内に設立され、これまでCHIPS法の管理を行っていた「CHIPSプログラムオフィス」については、イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省(DOGE)の指示で職員の8割を削減(レイオフ)したという。

トランプ大統領は当初からバイデン前大統領が署名したCHIPS法を批判しており、連邦議会に同法の廃案を要請している。現政権成立後に新たにCHIPS法による助成が認可されたものはないが、前政権で成立した韓サムスン電子や韓SK hynix、台TSMCなどに対する補助金には、まだ支払われていないものがある。今回の大統領令はこれらの企業に対する補助金支給に向けた措置であり、CHIPS法の廃止を見据えたものであるとみられる。