バイデン米政権は11月15日、半導体受託生産最大手の台湾・TSMCが米アリゾナ州フェニックスで建設中の新工場に対する66億ドルの補助金支給を最終決定したと発表した。補助金は米国内での半導体産業支援・振興を目的にしたCHIPS法に基づくもので、4月8日に支給方針を発表していた。

同社はアリゾナ州フェニックスに3つの半導体工場を建設する計画で、総投資額は650億ドルに上る。同社によると、第1工場では4nmプロセスの半導体を2025年前半に、第2工場では3nmプロセス及び2nmプロセスの半導体を2028年中に、第3工場では2nmまたはその次世代にあたる、1.6nmプロセスルールの半導体製造技術「A16」を採用した最先端半導体が2030年末までに製造開始される予定である。また、約6,000人の直接雇用の他、2万人以上の建設関連雇用、数万人のサプライヤーを通じた間接雇用の創出が見込まれている。

バイデン大統領は同社への助成について、「米国市場最大のグリーンフィールドプロジェクトへの直接投資だ」とし、2025年に最初の施設が稼働すると、「米国内で数十年ぶりに世界最先端の半導体が製造されることになる」と、その重要性を強調した。

なお、来年1月に次期大統領に就任するトランプ氏はCHIPS法に関連して、台湾が米国の半導体ビジネスを盗んでいると批判している。同法の今後の扱いについても政権交代に伴い不透明なものとなっているため、現政権のうちに支援の決定を急いだとみられている。