9月24日、半導体メモリ大手のキオクシアホールディングスが、10月に予定していた東京証券取引所への上場を延期する方針を固めたことがわかった。現状の市場環境では株式公開をしても、上場時の目標としていた時価総額1兆5,000億円に届かないと判断したためとみられる。

同社は8月に上場を申請し、近日中にも東証からの上場承認がされるという観測も浮上していた。上場が実現すると2024年最大のIPO(新規株式公開)になるとみられていた。

ところが、9月上旬には米NVIDIA株が売られるなど、8月以降、米国を中心に半導体株が調整局面を迎えている。株式売り出しの想定価格を決めるに当たり、キオクシアが比較対象としていた企業の株価も調整段階に入っているため、時価総額1兆5,000億円には届かないものと判断した。

キオクシアは2020年にもメモリ市況悪化により上場を延期したが、今回の状況は2020年とは異なる。同社の業績は2024年1~3月気の営業損益が6四半期ぶりに黒字転換するなど堅調に推移しているため、IPOの時期が大きくずれ込むことはなく、早ければ年内中のIPOが実現される可能性もある。

キオクシアの広報担当者は「適切な時期に向けてIPOの準備を進めている」と述べた。