半導体受託生産世界最大手、台TSMCは8月20日、独Robert Bosch、独Infineon Technologies、蘭NXP Semiconductorsと合弁会社であるESMCが独ザクセン州ドレスデンに建設する半導体工場の起工式を開催した。新工場はTSMCとしては欧州初の拠点となる。同社は2023年8月に新工場の建設計画を発表していた。 

 新工場はBoschのドレスデン工場の近隣に建設される。新工場では主に車載向けに、TSMCの28/22nmのプレーナーCMOS及び16/12nmのFinFETプロセス技術を導入した300mmウエーハを生産する。2027年末までの稼働開始を目指しており、本格稼働すると生産能力は月産ウエハ4万枚となる予定である。また、約2,000人の直接的なハイテク専門職の雇用が創出されるほか、欧州内のサプライチェーン全体で雇用創出が刺激され、地域経済の強化が期待されている。 

 工場への投資総額は100億ユーロを超え、独政府が欧州半導体法により50億ユーロを支援する。欧州委員会は同日、同補助金を承認したことを発表した。同法律による政府の補助金としてはこれまでで最大で、独では初めてとなる。 

 起工式にはTSMCの会長兼CEO(最高経営責任者)であるC.C. Wei氏やInfineonのCEOであるJochen Hanebeck氏らの企業代表者のほか、独首相のOlaf Scholz氏、欧州委員会委員長であるUrsula von der Leyen氏らも出席した。 

 TSMCのC.C. Wei氏は「当社はBosch、Infineon、NXPらパートナーとともに、急成長する欧州の自動車および産業分野の半導体ニーズに対応するため、ドレスデン工場を建設する」と新工場建設の狙いを述べた。また、「この最新鋭の製造施設によって、TSMCの高度な製造能力を欧州の顧客やパートナーに届けることができ、地域内の経済発展を促し、欧州全体の技術進歩を促進していく」と新工場への期待を示した。 

 また、Olaf Scholz首相は、「欧州とドイツで半導体の生産能力を拡大することは重要である。半導体の供給をほかの地域に依存してはならない」と述べ、経済安全保障上においても欧州での半導体生産が重要であるという点を強調した。 

出典:TSMC ニュースリリース