半導体受託生産最大手、台湾・TSMCは12月27日、熊本県菊陽町にある運営子会社のJASMの第1工場が同日までに量産を開始したと明らかにした。同社はかねて2024年12月中の本格稼働開始を計画していた。

TSMCの広報担当者は同日、第1工場について、「全てのプロセス認証を完了した後、12月に計画通り量産に入った」と述べた。そのうえで、JASMについて、「日本における安定した先端半導体の生産拠点となり、グローバルな半導体エコシステムに貢献していく」とした。

同工場では、これまで日本国内で量産できなかった28/22nmプロセスや16/12nmプロセスの演算用ロジック半導体を量産する。生産能力は300mmウエーハ換算で月産5.5万枚。JASMに出資するソニーグループやデンソーに供給する見込みとなっている。

また、熊本県の木村敬知事も同日の記者会見で、JASMから「今月に量産を開始したと12月23日に連絡を受けた」と明らかにした。木村知事は工場からの排水のモニタリングのため、稼働開始時に連絡を求めていたと説明。報告を受けて、熊本県は地下水への影響や排水の状況についてのモニタリングを開始し、12月26日からリアルタイムで地下水位を監視できるシステムを県のホームページで公開している。

なお、第1工場の東側の隣接地には第2工場を建てることも決まっており、3月までに着手する予定。第2工場ではさらに性能の高い6nm製品を生産する計画である。また、熊本県は第3工場の誘致も目指しており、木村知事はTSMCに進出を要請したと表明している。