九州大学は7月26日、先端半導体に不可欠な極端紫外線(EUV)の照射と解析評価サービスを提供する新会社「EUVフォトン」を7月29日付で設立すると発表した。各企業が先端半導体向けの新素材などを開発する際、EUVの照射~解析を一貫して提供できるようにする。

同社は産学連携の加速を目的に4月1日に設立された九州大学の100%子会社「九大OIP」の傘下に置かれる。社長には九州大学で半導体の研究に携わってきた浅野種正同大名誉教授が就任する。資本金は100万円で、本社は福岡県福岡市に置かれる。今後、外部からの出資受け入れも視野に入れるという。

最先端の半導体開発や製造工程ではEUVが不可欠となっている。実用化EUV光源は九州大学の岡田龍雄教授らが2005年に発表した技術が基盤となっているが、後続する研究開発は海外の試験研究機関に委託している現状であり、高いコストや技術の流出などの懸念があった。

「EUVフォトン」では、九州大学が20年以上にわたって蓄積してきたEUV照射に必要な研究結果、ノウハウ、人材等を活用し、半導体材料・素材メーカー、デバイスメーカー、半導体製造装置メーカーに対し、EUV照射と解析評価を行うサービスを国内で唯一提供する。今後、光源設備の発注や人材採用等準備を進め、2025年度中のサービス提供を予定している。加えて、EUVの照射と、その結果を解析評価することが可能な人材の教育・育成にも取り組む。

今後九州大学では「より中長期的な研究開発課題に対応するため、新会社のサービスをテコに、半導体開発に関する共同研究・人材育成を一層活性化する」としている。

出典:九州大学 お知らせ