米国商務省は7月17日、Siウエハ大手の台湾・GlobalWafersの米国子会社であるGlobalWafers America及びMEMCに対し、最大4億ドルの補助金を支給すると発表した。

今回の補助金は米バイデン政権による国内半導体産業支援策であるCHIPS法に基づくもの。半導体材料であるSiウエハについては、現在その約90%が東アジアから供給されており、300mmウエハについては、GlobalWafersを含む5社で80%以上を占める寡占状態となっている。先端半導体製造で必要となるSiウエハの米国内での生産・供給を支援することにより、Siウエハから先端半導体製造までの半導体サプライチェーンを米国内でほぼ完結できるようにする狙いがある。

今回の補助金を受け、GlobalWafersはテキサス州シャーマンに米国初の先端プロセス向け300mm Siウエハ製造施設を設立し、ミズーリ州ピーターズに300mmのSOIウエハの製造施設を設立する。このSOIウエハは防衛・宇宙産業向けになるとみられる。

加えて、テキサス州シャーマンにあるSiエピタキシャルウエハ製造施設の一部をSiCエピタキシャルウエハの製造施設に転換し、150mm及び200mmのSiCエピタキシャルウエハを製造する見込みであるとしている。なお、一連の投資により、テキサス州とミズーリ州に約2,000名の雇用を創出できるという。

また、地元の教育機関における半導体技術者・労働者育成が補助金支給の条件の1つであるが、同社はサザンメソジスト大学が主導するTexoma Tech Hubのメンバーであることに加え、テキサス大学ダラス校が主導するNorth Texas Semiconductor Workforce Development Consortiumにも参加し、テキサス州の半導体関連労働力の養成を支援する。また、シャーマン高校、デニソン高校、グレイソン大学と連携し、各学校に電気工学ラボを設置、技術者のトレーニングを提供する。一方のセントピーターズでは、国立産業・キャリア向上研究所(NIICA)および地元の高校と協力して、メンテナンス技術者の見習いプログラムを開発するほか、セントチャールズコミュニティカレッジと協力して、二重登録(Dual Enrollment)に参加している高校生が高度な製造および自動化に関わるキャリアに踏み出すのを支援するためのプログラム「MegaTech」を実施する予定としている。