6月5日、蘭の半導体製造装置メーカー、ASMLが最新の半導体製造装置を年内に台湾・TSMC向けに出荷することが明らかになった。

ASMLのロジャー・ダッセンCFO(最高財務責任者)は、同社の2大顧客であるTSMCと米Intelが高NA EUV露光装置を年内に入手すると述べたと伝えられている。Intelは既にASMLの最新の高NA EUV露光装置を発注し、最初の1台が昨年12月にオレゴン工場に出荷済みである一方、同社最大顧客であるTSMCにいつ納入されるかは明らかになっていない。TSMCの担当者はサプライヤーと緊密に協力していると述べたが、それ以上のコメントは控えている。

ASMLの新型高NA EUV露光装置は前世代の1.7倍小さい、厚さ8nmのラインで半導体をインプリントでき、AI向け半導体をはじめとする次世代半導体の製造に用いられる。1台あたりの価格は3億8,000万ドル、重さはエアバス社の旅客機A320シリーズの2台分(約150トン)に相当するという。

TSMCはこの装置の価格に懸念を示している。同社のシニアバイスプレジデントであるケビン・チャン氏は「高NA EUVの能力は好ましいが、ステッカー価格は気に入らない」と述べている。同社が2026年後半に導入を予定する「A16」ノードでは、ASMLの高NA EUV露光装置を使用せず、既存のEUV露光装置での生産が継続されるとした。

一方で、TSMCはASMLの高NA EUVプロジェクトに参加しているため、アナリストはTSMCが2028年に導入するとみられる「A14」ノードでは最新装置を使用するのではないかと予測している。