最先端半導体の量産を目指すRapidusは4月11日、米・シリコンバレーに新会社を設立したと発表した。AI(人工知能)関連企業が集中する地域に拠点を置くことで、新興企業も含めた顧客開拓を加速させる狙いがある。

新会社「Rapidus Design Solutions」が設立されたカリフォルニア州サンタクララは米Intel、米NVIDIA、米AMDなどが本社を置く、半導体の聖地ともいえる地域。この地域を含むシリコンバレー一帯には、ソフトからハードまで幅広い分野のAI企業が拠点を置く。

Rapidusの小池淳義社長は同日の記者会見で、「初期顧客はAIの先端地であるシリコンバレーの企業がかなりの部分を占める。新興企業と一緒に開発するのは極めて重要だ」と同地への新会社設立の意義を強調した。

新会社の社長にはHenri Richard氏が就任した。同氏はフランスでIT関連企業を立ち上げるなどした後、米国でAMD、IBM、NetApp、SanDiskといったIT・半導体関連企業でマーケティングを担ってきた。Rapidusは同氏がシリコンバレーで長年培ってきた経験と人脈を生かし、新規顧客を早期に獲得したい構えだ。

現在、AI半導体市場はNVIDIAが約8割を占めている。NVIDIAは台湾・TSMCに製造を委託しており、Rapidusが顧客として引き込むことは難しい。そこでRapidusはAI半導体を手掛ける新興企業を引き込むことでファウンドリ市場でのシェア確保を目指す方針だ。Rapidusはいち早く、AI半導体の設計を手掛けるカナダの新興企業、TestorrentとAI半導体の開発で提携を結び、2月27日にはエッジAI半導体の製造の委託を受けている。

Rapidusは少量の注文からでも引き受け、素早く納品することで新興企業によるAI半導体製造を支援する方針。製造手法をAIによる分析で効率化することで、競合他社と比べ、2倍の速さで納品することを目指す。ファウンドリ市場に風穴を開けるため、スピードを売りにして新規顧客の開拓を急いでいく。

出典:Rapidus ニュースリリース