米の半導体大手、Microchip Technologyは4月9日、半導体生産能力を強化するため、台湾・TSMCとの提携を拡大し、TSMCの製造子会社であるJASM(熊本県菊陽町)を通じて、40nmに特化した製造能力の提供を受けると発表した。

同社はJASMからのウエハ提供を受け、自動車、産業、ネットワーク用途を含むさまざまな市場におけるサービス提供能力を強化する。

この動きはMicrochipのサプライチェーン強化の一環であり、自社内の製造環境に事業継続性のさらなる保証を与え、頻繁に変化するビジネス環境や自然災害などの外部要因を相殺することで半導体の継続した供給を可能にするという狙いがある。そのほか、自社生産能力を高めるための追加投資やウエハ工場、ファウンドリ、組み立て、テスト、OSATとの地理的多様性/冗長性の確立などにも取り組んでいる。

Microchipのグローバル製造・技術担当シニアバイス プレジデントである Michael Finley 氏は、「Microchip 社の信頼性の高い供給管理に対する評判は、この新しいTSMC製造パートナーシップによってさらに高まる」と期待を寄せた。

一方、TSMC NORTH AMERICA の経営管理担当のシニアバイス プレジデントである Rose Castanares 氏は、「Microchip 社とのこの取り組みは、お客様の長期的な成長とイノベーションをサポートするというTSMC のコミットメントをさらに裏付けるものだ」とし、「Microchip 社との協力関係を拡大することで、最先端技術が発展し続ける中、これらの機能を製造し、必要とされる時に世界中のお客様に提供する当社の総合的な能力を確保することができる」と述べた。

なお、Microchipに先んじて、Analog Devices(ADI)が2024年2月にTSMCとのパートナーシップを拡大して、JASMの40nmプロセス及びそれ以降の微細プロセスを活用するウエハ生産能力を確保したと発表している。成熟した特化プロセスを使用したい米国顧客からの新たな生産委託先としてJASMは存在感を増している。

出典:Microchipプレスリリース