信越化学工業は4月9日、半導体露光材料事業の拡大に向け、群馬県伊勢崎市に新工場を建設すると発表した。投資総額は約830億円で、2026年までの稼働を目指す。

同社は1997年にフォトレジスト事業を立ち上げ、直江津工場で当時最先端のKrFフォトレジストの生産を開始して以来、フォトマスクブランクス、ArFフォトレジスト、多膜層材料、EUVフォトレジストなどを相次いで開発、量産化に成功してきた。直江津に続き、2016年に福井県、2019年に台湾雲林県に同事業の工場を設置しており、今回の新工場が同事業4番目の工場となる。なお、同社が国内に工場を新設するのは1970年に茨城県神栖市に建設して以来となる。

同社は群馬県が伊勢崎市で造成中の「伊勢崎南部国領産業団地」の約15万平方メートルを取得し、工場を建設する。建設工事に関わる人材はピーク時で約1,500人、新工場が稼働すると約80人の雇用を見込む。

新工場建設を決めた理由について、同社発表は、「半導体露光材料は、先端半導体の製造に不可欠な材料として需要が伸長しており、品質への要求も高度化し続けている。顧客からの強い要請に応えるため、事業継続の観点からもリスク分散を図ることが可能な第四の生産拠点の新設を決定した」とした。地震などの自然災害のリスクの低い地点に拠点を設けることで、製品の安定供給に繋げる狙いがある。

同社の斉藤恭彦社長は、同地に新工場建設を決めた理由について、「群馬県の対応の速さや柔軟さが決め手となった」とした。また、新工場を「半導体材料の一大拠点にしていきたい」と述べた。同社は新工場を半導体材料の先進拠点として位置付け、今後も段階的に追加投資を行う方針である。斉藤社長は、「これから第2期、第3期と拡張していくための大きな用地を残している。将来は研究施設も設けたい」と今後の展望を述べた。

出典:信越化学工業 ニュースリリース