半導体受託生産世界最大手、台湾・TSMCの製造子会社のJASMは2月24日、熊本県菊陽町に建設した熊本第一工場の開所式を開催した。開所式にはTSMC創業者の張忠謀氏や劉徳音会長、齋藤健経済産業大臣、蒲島郁夫熊本県知事のほか、JASMに出資するソニーグループの吉田憲一郎会長兼CEO、デンソーの林新之助社長、トヨタ自動車の豊田章男会長らも出席した。

TSMCの日本で初めての生産拠点となる熊本第一工場は、2021年に同社が進出を表明し、2022年4月に着工、2023年12月に建屋が完成した。敷地面積は21万3,000平方メートル、延べ床面積は22万6,000平方メートルで、地上4階、地下2階建てとなっており、クリーンルームは国内最大規模を誇る。投資総額は86億ドル(約1兆3,000億円)で、日本政府が最大4,760億円を助成する。国内では現在最先端となる22/28nm、12/16nm世代のロジック半導体を生産する見込みで、2024年10~12月の量産開始を予定している。

式では創業者の張氏があいさつし、「日本での工場建設が実現し、感慨深く思う。日本だけでなく世界における半導体供給の強じん化につながるとともに、半導体製造のルネサンスの始まりになると期待している」と述べた。

また、齋藤経産相は「1980年代、日本の半導体産業は世界一のシェアを誇っていたが、官民双方の取り組みが時代の流れに取り残され、競争力を落としてきた」と振り返り、今回の新工場の開所が「日本の半導体産業に欠けていたピースが埋まる、極めて深い意義を持つものだ」と、大きな期待を寄せた。

なお、TSMCは2024年2月6日に熊本第二工場の建設も表明している。第二工場では6~12nmなどの先端半導体を製造する予定で、2024年末に着工し、2027年末に稼働する予定である。投資額は139億ドル(約2兆1,000億円)で、政府はこれに最大7,320億円を助成することを明らかにしている。日本の半導体産業復活を目指し、TSMCの2工場にかかる日本政府の期待は非常に大きく、今後も積極的に支援していく構えである。

出典:TSMC プレスリリース