北海道大学・産業技術総合研究所発スタートアップの大熊ダイヤモンドデバイスは10月17日、ダイヤモンド半導体の工場の建設に向け、プレシリーズAラウンドで融資を含む約40億円を調達したと発表した。

このラウンドはグローバル・キャピタル・パートナーズがリードし、Coral Capital、SMBCベンチャーキャピタルなど計10社のベンチャーキャピタル(VC)が第三者割当増資の引受先となった。また、デッドファイナンスはみずほ銀行が筆頭金融機関となる。創業からの2年半での累計調達金額は、助成金を含め約67億円に達する。

大熊ダイヤモンドデバイスはダイヤモンド半導体の社会実装を目指し、2022年3月に創業。ダイヤモンド半導体は既存の半導体に比べて熱伝導率、絶縁破壊、比誘電率、移動度が優れ、高周波特性や電力効率、放熱性などに大きな優位性がある。同社は福島第一原子力発電所の廃炉作業での活用を想定するほか、衛星通信・レーダー産業向け、次世代通信技術「6G」への活用も視野に入れる。

同社は工場を福島第一原発に隣接する福島県大熊町に建設予定。広さは約6,000平方メートルで、2025年1月に建設開始予定。2026年度中に稼働を開始する予定である。世界初のダイヤモンド半導体工場として、同製品の生産と商用化を目指していく。」

また、同社は資金調達と並行し、経済産業省による「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金(製造・サービス業等立地支援事業)9次公募」にも採択された。この補助金は、福島県の避難指示区域等を対象に、住民の自立・帰還や産業立地の促進を図るため、工場等の新増設を行う企業に対し最大30億円を支援するもの。廃炉作業への速やかな製品供給に加え、避難指示区域の再活性化にも貢献していく。

出典:大熊ダイヤモンド株式会社 プレスリリース