経済産業省は2月9日、技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)を「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の実施事業者として採択したことを発表した。AI向け半導体などの研究開発に最大で450億円が支援される。

LSTCはRapidusや産業技術総合研究所、理化学研究所、東京大学などが参画する研究機関で、2nmノード以細の次世代半導体の短TAT(Turn-Around-Time)製造技術の開発を目指している。

今回採用された研究テーマは「2nm世代半導体チップ設計技術開発」と「Beyond 2nm世代向け半導体技術開発」の2件。経産省は前者に280億円、後者に170億円を支援する。

「2nm世代半導体チップ設計技術開発」では、次世代半導体設計技術として、生成AIを含むエッジ推論処理用途に専用化したエッジAIアクセラレータの開発を進める。具体的には、(1)業界標準に対応したAIアクセラレータ向け統合アーキテクチャの開発、(2)2nm技術によるアクセラレータチップの開発、(3)2nm技術を用い、エッジAIに最適化されたCPUチップの開発、(4)業界標準のAIフレームワークを利用可能なソフトウェア開発基盤の構築を行う。新たに設計開発された半導体は産業用や生活支援ロボット、自動車のほか、小売りなど、幅広い分野で使用される見込みである。なお、このテーマでは、カナダのTenstorrentが国際連携として参画する予定で、CPUチップの開発に携わる見込みである。

また、「Beyond 2nm世代向け半導体技術開発」では、2nmよりもさらに高性能な半導体実現のため、「Beyond 2nm向けデバイス/材料/プロセス要素技術及び短TAT/クリーンプロセス装置技術」を開発する。これにより、半導体の高性能化に加え、製造期間の短縮や製品の早期市場投入を可能とし、日本の半導体製造の競争力強化とシェア挽回に寄与するとしている。このテーマには、米・Applied Materials(AMAT)、仏・CEA-Leti、ベルギー・imecが国際連携として参画し、AMATが枚葉式製造装置の開発を、CEA-Letiとimecは2nm以降の微細プロセスを共同で進める見込みである。

2件の研究開発とも2028年12月での終了を予定しており、2029年の市場投入を見込む。また、人材育成についても文部科学省と協議を進めているとしている。

出典:LSTC 2024/02/09 NEDOによる「Beyond 2nm及び短TAT半導体製造に向けた技術開発」と「2nm世代半導体技術によるエッジAIアクセラレータの開発」の採択について