パワー半導体最大手の独Infineonは1月23日、SiCウエハ最大手の米Wolfspeedと2018年2月に締結した既存の150mmSiCウエハ長期供給契約の拡大・延長を発表した。今回の契約には、複数年の生産能力予約契約が含まれているという。

Infineonは2017年にCree(現Wolfspeed)の SiC事業買収を断念した後、2018年2月にCreeと150mmSiCウエハの長期供給契約を締結しており、今回はこれを延長することになる。契約延長によりInfineonは全般的なサプライチェーンの安定化が可能となるのに加え、自動車、太陽光、EVアプリケーション、蓄電システム向けのSiC半導体の需要拡大への対応が可能になる。

Infineonのヨッヘン・ハネベックCEOはWolfspeedとの長期パートナーシップについて、「Infineonの今後のサプライチェーンの強靭性をさらに強化するもの」であると述べた。また、Wolfspeedのプレジデント兼CEOであるグレッグ・ロウ氏は、「Infineonとのパートナーシップを継続し、今後SiCウエハの主要なサプライヤーとして貢献できることをうれしく思う」と述べている。

なお、Infineonは、自動車分野やソーラー、電力貯蔵システム向けなど、今後SiCソリューションの採用の急速拡大に対応し、安定した供給体制を確立するため、SiCウエハ供給基盤を継続的に多様化させている。2018年のCreeに始まり、2020年にSiC結晶を手掛けるGT Advanced Technologies、2022年8月に米II-VI Incorporated(現Coherent)、2023年1月にレゾナック、2023年5月に中国のSiCサプライヤーであるSICC及びTankeBlue、2024年1月10日にはSiCウエハを手掛けるSK Siltron CSSと供給契約を結んできた。Infineonは今後も脱炭素促進の旗手として様々な分野のイノベーションを目指していく。