台湾の市場調査会社、TrendForceは10月16日の報告で、NANDフラッシュメモリの価格が第4四半期に8~13%上昇する見通しを示した。この価格上昇はサプライヤーの厳しい生産管理によるところが大きいとしている。但し、この価格の上昇が2024年まで継続するかは減産戦略の継続とエンタープライズ向けSSDの需要回復が鍵であるとしている。

メーカー及びメモリサプライヤーの在庫の増加と需要の悪化を背景に、メモリ市場は2022年下半期以降、下降を続け、価格の下落も続いた。2023年第3四半期には価格が5~10%下落していた。

価格上昇の持続の鍵となるエンタープライズ向けSSDについては、北米のCSPが未だに大量の在庫を保持しているものの、一部のサーバブランドからの需要は2023年上半期に比べて回復しており、中国ではCSPの在庫が適当な水準に下がったのに加え、準大手電子商取引ベンダーのピークシーズン中の需要の増加により、注文が回復した。これにより、エンタープライズ向けSSDの第4四半期の調達需要は増加し、5~10%の価格上昇が見込まれる。

台湾のNANDフラッシュメモリの関係者も市場の見通しに前向きであり、6~9カ月のOEM顧客の在庫調整が終わり、デザインインのケースも増えており、制御チップの需要も徐々に回復しているとしている。また、台湾のメモリメーカー、ADATAのチェン・リーバイ会長は、「上流のウエハファブでの大幅な生産削減の恩恵が現れており、メモリ価格は今年第4四半期から来年上半期にかけて上昇するだろう」という楽観的な見方をしている。また、今後2年間でメモリ半導体市場は好況となり、市場の供給が逼迫し、品不足が発生するという可能性も指摘した。