韓国大統領室の崔相穆(チェ・サンモク)経済首席秘書官は9日、米政府がサムスン電子とSKハイニックスの中国工場を「検証済みエンドユーザー」(VEU)に指定したことにより、別途の手続きなしで米国製の半導体製造装置の供給が可能になったと明らかにした。
VEUは民間用途の使用が確実な貿易を促進するため、事前に承認された企業に対し、指定された品目の輸出を一括して認める方式であり、期限も設けられていない。米政府は昨年10月に中国に対する半導体装置輸出を事実上禁止する一方で、中国内に自社工場を展開する両社に対しては輸出規制を1年間猶予していたが、今回の決定により、規制が事実上無期限猶予されることになる。
これまで、米国の半導体装置輸出規制猶予が延長されなければ、18nm以下のDRAMや128層以上の3DNANDフラッシュメモリといった先端半導体の製造ができないため、中国工場の運営は事実上不可能になり、両社にとって大打撃となると懸念されていた。チェ首席秘書官は今回の米政府の決定が「韓国半導体メーカーの最大の懸案が一段落したことを意味する」とし、「韓国半導体メーカーの中国内工場運営と投資に関する不確実性が大きく緩和され、長期的に安心してグローバル経営戦略を模索できるようになった」と説明した。
なお、これとは別に、米政府は最近、補助金を受ける半導体メーカーの中国内工場の生産能力を10年間で5%以上拡張できないようにする「半導体法ガードレール」(安全装置)規定を最終確定しており、中国工場の生産能力拡大は制限されることになる。両社にとって米中対立の影響が完全に解消されたわけではなく、より綿密な戦略が必要となる。