米国の調査会社Gartner Group社は2023年2月6日、2022年の主要電子機器メーカーによる半導体消費に関する調査結果 (速報値) を発表した。上位10社の半導体購入額は前年比7.6%減の2,240億1,200万米ドルとなり、世界の半導体消費全体の37.2%(前年は40.%)を占めた。

2022年は、世界的なインフレや景気後退などの影響により、PC/スマートフォンの需要が急激に弱まった結果、主要電子機器メーカーの生産が減少、それに伴い半導体の購入も減少した。
さらに中国のゼロコロナ政策は、電子機器のサプライチェーンに深刻な材料不足と短期的な混乱をもたらした。特に自動車、ネットワーク、産業用電子機器市場で長引く半導体不足は、半導体チップの平均単価を引き上げ、これらの市場における半導体収益の増加を加速させた。その結果、2022年の半導体消費全体に占める上位10社の半導体消費のシェアは、2021年よりも減少した。

表1に世界の電子機器メーカ上位10社による半導体消費額を示した。2022年の上位10社の顔ぶれは、2021年と同じで、米Apple社と韓国Samsung Electronics社は上位2社の座を維持した。また、上位10社の中で、唯一Samsung Electronicsとソニーの2社の半導体消費それぞれ、対前年比で増加した。
Appleは、4年連続で半導体購入企業のトップを維持した。同社は自社設計のアプリケーション・プロセサへの継続的な移行により、マイクロプロセッサ (MPU) への支出を11.7%減少させたが、メモリ以外の半導体全体への支出は2.8%増加した。
Samsung Electronicsの2022年の半導体消費は、前年から2.2%増加し、2位の座を維持した。同社は折りたたみ式スマートフォンでリードしたことに加え、中国のゼロコロナ政策が競合他社に影響を及ぼしたことで、世界のスマートフォン市場でシェアを拡大したことが、半導体消費拡大の要因となった。
ソニーは、家庭用ゲーム機PlayStation 5に対する世界的な需要が継続し、2022年の半導体消費の成長率が対前年から上昇した。一方で、年間を通じて深刻な半導体不足と物流網の混乱が続いたため、需要水準に見合う生産量を上げることはできなかった。

2022年の半導体売上高の約25%を占めるメモリは、需要が低迷する中で2022年後半に価格が急落したため、デバイス別で見ると最も成長率が低い10.0%の減収となった。上位10社の主要電子機器メーカーがメモリ支出の49.2%を占めているため、結果としてメモリ支出額が大幅に減少することになった。

表 世界の電子機器メーカー上位10社による半導体消費 (2022年)
(速報値)