国内半導体大手 ルネサス エレクトロニクスは2022年6月16日の2022 VLSI回路シンポジウムにおいて、スピン注入磁化反転型磁気抵抗メモリ(STT-MRAM、以下MRAM)の高精度、高速読み出し可能な技術と、書き換え動作の高速化を実現する技術を発表した。22nmロジック混載MRAMプロセスによって、32メガビット(Mb)のMRAMメモリセルアレイを搭載したテストチップを試作し、最大接合温度150℃でランダムアクセス時間5.9nsと書き換えスループット毎秒5.8メガバイト(MB)(5.8MBps)を達成している。
MRAMはフラッシュメモリと比較すると、構造的にBEOLから組み込むことができ、書き換え時間が短縮できるというメリットある。しかし、フラッシュメモリより読み出しマージンが小さく、読み出し速度が低下するという課題があった。
これらの課題に対応するため、以下のような開発を行った
(1)メモリセル電流が小さい時でも必要な電圧差を確保し、高精度・高速な読み出し動作を可能とした高精度センスアンプ回路の導入、(2)同時書き換えビット数の最適化とモード間の遷移時間の短縮による高速書き換え技術。書き換え電圧印加を行う領域の容量負荷を低減し、電圧の立ち上げ時間を短縮することで、書き換え動作に移るためのモード間の遷移時間を約30%短縮して書き換え動作を高速化した。