国立大学法人東京大学(以下 東京大学)とIBMは、将来の量子コンピューター技術の 研究・開発を行うハードウェア・テストセンター「The University of Tokyo – IBM Quantum Hardware Test Center」を東京大学 浅野キャンパス内に開設し、同センターに 量子コンピューターのコンポーネントの試験用に構築したより大規模な量子コンピュ ーターの動作環境を再現するプラットフォームである量子システム・テストベッドを 設置した。

このテストセンターでは、日本の参加企業や団体に量子システム・テストベッドへのアクセスを提供し、量子コンピューターの将来のアプリケーション活用に不可欠な、高度な極低温マイクロ波コンポーネントとサブシステムおよび 制御エレクトロニクスや、超伝導量子ビットを安定的に動作させるために必要な材料、高品質な信号伝送に必要な高周波部品や配線といった技術の研究開発を行うことを目的としている。

また、6 月 1 日付で仙場浩一氏が東京大学大学院理学系研究科 に特任教授として着任し、東京大学のみならず、日本の高い技術力を持つ材料・部材・機器メーカーとも協業して、将来の量子コンピューターに必要な研究開発を実施・牽引していく。

量子コンピュータにおける動きは活発になっていて、ドイツでは、フォルクスワーゲン、BMW、シーメンス、ボッシュといった世界的なメーカーが量子コンピュータの利用に関するコンソーシアムを設立した。このうちフォルクスワーゲンでは、グーグルと提携し量子コンピューターを活用し、交通の流れを最適化する世界初の試験プロジェクトを、ポルトガル・リスボン市内で実施した。

米英では、IBMをはるかに凌ぐ「量子ボリューム」(QV)でQV512を達成した米Honeywell Quantum Solutions(HQS)と英ケンブリッジ大学発のベンチャーである英Cambridge Quantum Computing(CQC)が経営統合することを発表した。CQCは量子暗号デバイスや量子プログラミングプラットフォームの開発・販売などを手掛けており、最近ではデータから期待値を求めるモンテカルロ積分を高速化する量子アルゴリズムを開発し大きな話題となった。

分野の異なる両者の経営統合は、今後の実用化に向けて更なる期待が高まる。