ルネサス エレクトロニクスの柴田英利社長は2021年4月19日に記者会見を行い、今年3月に発生した火災により生産を中止していた那珂工場について、現状と今後の見通しを明らかにした。4月17日に運転を再開しており、今週内には30%、4月中には50%、5月中には100%の生産能力に復帰するとの見通しを示した。しかし、同工場が火災前の水準に戻る時期は、従来計画では100日前後としていたが、装置などの設備の調達などで回復が7-10日ほど遅れるとの見通しを示した。
現在では自社の他の工場やTSMCなど外部への代替生産を進めている。7月以降に代替生産の効果が出て、トータルで多くの製品を出荷できるとしている。

またルネサスでは、火元となったCuめっき装置は、火災前は7台あったが、3台が焼損し、焼損せずに残っている装置は4台となる。これら全ての装置が、火元となった装置とは異なる電源配線構造を採用しており、残っている4台については今回と同原因での発火の可能性は想定していないとした。
今後、今回と異なる要因で発火が起こった場合の対策として、CO2消火器および自動ダンパ―を既に設置し、5月には、煙や熱を検知するセンサの設置も進める。6月には、これらのセンサと連動して、CO2消火材を自動放出できる仕組みを導入する。これらの対策を施すことで、もし火災が起こったとしても、今回と比較して小さい範囲で延焼を食い止めることが可能と考えているとした。