ロームは2021年1月7日、2019年2月から建設を続けていたローム・アポロ(子会社)の筑後工場の竣工式を開催した。新工場ではSiCパワーデバイスの製造を担当する。今後、生産設備導入を進め、2022年からの稼働開始を予定している。

新棟は、地上5階建て、延床面積は約11,000m²(計画値)。

新棟は、さまざまな省エネルギー技術を用いた生産設備を導入する。使用する電力を100%再生可能エネルギーでまかなう環境配慮型の工場となり、さらに排熱を有効活用した高効率の空調設備や純水製造設備、LED照明の導入などで省エネルギー化に努めている。従来設備と比較してCO2排出量を20%(約7,000t分)低減している。

同社は、2010年にSiCパワーデバイス(SiC SBD、SiC MOSFET)の量産を開始して以来、フルSiCパワーモジュールやトレンチ構造を採用したSiC MOSFETの量産を開始するなど、業界をリードする技術開発を進めている。一方で、製造面においても一貫生産体制を構築し、ウエハの大口径化や最新設備による生産効率向上に取り組むとともに、モノづくりにおける環境負荷軽減に取り組んできた。

今回の新棟だけでなく、SiCウェーハを製造するグループ会社である独SiCrystal GmbHの工場も、2021年度より再生可能エネルギー使用率100%での稼働を予定しており、同工場での購入電力由来のCO2排出量はゼロとなる。これにより、SiCウエハの主要な生産工程は、すべての再生可能エネルギーを利用した環境配慮型の生産体制となる。