中国ファーウェイは、今秋に最新のSoC「Kirin 1000」を搭載する新機種「Mate 40」をリリースする予定だが、同社のコンシューマー事業部CEOのリチャード・ユー氏は「Mate40がKIrinを搭載した最後の機種になるかもしれない」と述べた。これまでKirinシリーズは台湾TSMCが手掛けてきたが、今秋以降はTSMCでファーウェイ向けのチップを製造することはできなくなる。

現状、中国内の半導体製造メーカーであるSMICはTSMCから3〜4世代離れていると言われ、追いつくには10年ほどかかるとも言われている。しかし、国家の威信をかけた産業で、中国が黙って手をこまねいているわけにも行かない。8月12日のNikkei Asian Reviewは、中国政府系のチップ企業2社がTSMCから100人以上のベテランエンジニアとマネージャーを雇い入れていると報じた。
この2社は済南市にある2019年に創業したQXICと、2017年に創業した武漢市のHSMCとされ、チップ製造のノウハウを積極的に進め、14〜12nmプロセスのチップ開発を目指している。

更に、最近台湾のサイバーセキュリティ企業、CyCraft社は、中国政府と繋がりのあるハッキング集団「キメラ」が、新竹工業地区に所在を置く台湾の半導体企業7社に2年以上攻撃を仕掛け、各社のシステムに侵入していたという。

日本でもかつて中国や韓国への技術流出が大きな問題となったが、米国に手枷足枷をはめられた中国は、米国とのハイテク産業の覇権争いに置いて行かれないよう、今後より強硬な手段に打って出ることも考えられる。