半導体大手のSTMicroelectronicsは2025年9月17日、先端パッケージング技術であるPLP(パネルレベルパッケージング)技術の開発を行うパイロットラインを仏トゥールーズの拠点に構築すると発表した。投資額は6,000万ドル超。同ラインは2026年第3四半期の稼働開始を予定している。

半導体デバイスの小型化や複雑化に伴い、従来のWLP(ウエーハレベルパッケージング)はスケーラビリティやコスト効率の面で限界に直面している。近年はこれを打開するため、個別の円形ウエーハではなく大きな長方形のパネル基板上に複数のICを一括で実装・パッケージングするPLPが開発されている。同社はPLP技術について2020年から開発を主導し、現在では700mm×700mmパネルを用い、1日あたり500万個以上の大規模生産を可能にする最先端のPLP-DCI(Direct Copper Interconnect)の製造ラインをマレーシア工場に稼働させている。同社は自動車・産業・消費財向け製品へのPLP適用をさらに拡大するため、次世代のPLP技術の開発を進める計画である。

同社の品質・製造・技術担当プレジデントであるFabio Gualandris氏はトゥールーズ拠点でのプロジェクトについて、「製造オートメーション、プロセスエンジニアリング、データサイエンス・分析、技術・製品R&Dの専門家からなる学際的チームが参加し、チップ統合におけるスケーラブルで効率的な新手法であるヘテロジニアスインテグレーションを推進する大規模戦略イニシアチブの重要な一翼を担う」とし、その重要性を強調した。続けて、「トゥールーズでの新たなイニシアチブは欧州における次世代チップ開発を支えるプロセス、設計、製造イノベーション能力をさらに拡充するだろう」と自信を示した。

なお、同拠点では、マルタ工場の高信頼パッケージ製造能力のほか、マイクロエレクトロニクス分野の研究開発センターである仏CERTEMなどの地元のR&Dエコシステムとも連携し、欧州での後工程技術の拡大も目指していく予定である。

出典:STMicroelectronics newsroom